[高騰打破]WCS肥料費最大10a1・1万円減 全量を畜ふんに転換 広島県試算

広島県立総合技術研究所畜産技術センターは、発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)用の稲栽培で全量畜ふん肥料を使った実証をした。化成肥料を発酵鶏ふんで置き換えた場合、10アール当たり最大1万1000円の肥料費が減らせると試算する。牛ふん堆肥と、10アール当たり485キロの鶏ふんを施用することで、可消化養分総量(TDN)などの栄養価は輸入飼料と同等以上に確保できた。

 極短穂稲「たちすずか」で、化成肥料を発酵鶏ふんで置き換えた試験を4年間実施。乾物収量や品質などを調べた。鶏ふんは費用対効果を見極めるため、10アール当たり0キロ、185キロ、485キロ、790キロ、1090キロ施用し、それぞれ0・6アールで試験した。

 その結果、乾物収量は10アール当たり485キロ以上の鶏ふんを施用すると横ばい状態が続き、同1・5トン以上の収量が得られた。タンパク質含量やTDNは、チモシーやエン麦などの輸入飼料と同等以上に確保できた。

 化成肥料と発酵鶏ふんをそれぞれ施用した場合の10アール当たりの肥料費は、農水省の統計(2022年9月時点)を基に試算。発酵鶏ふんは1キロ当たり0~10円、牛ふん堆肥は1キロ当たり3円で考えた。牛ふん堆肥と化成肥料で栽培した場合、年間で約1万7340円の肥料費がかかるが、化成肥料を発酵鶏ふんに置き換えると6000~1万1400円に削減できると試算する。

 試験に使用した発酵鶏ふんの窒素含量は、平均約3・4%。牛ふん堆肥は耕起前に10アール当たり2トン施用した。発酵鶏ふんは代かき前に施用し、肥料成分が蒸発するため直ちにすき込んだ。

 同センターは畜ふん肥料によって窒素量や水分量などが異なるため、事前に成分の確認が必要だと指摘。技術支援部の河野幸雄部長は「発酵鶏ふんを幅広く活用してほしい」と期待した。

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