財務省の財政制度等審議会(財政審)は20日、2024年度予算編成に関する建議(意見書)を鈴木俊一財務相に提出した。「補助金に依存」する農業の構造転換を求め、米の転作助成の単価見直しなどを提起。麦や大豆への交付には単位収量の基準を設けるべきだとした。収入保険などセーフティーネット(安全網)も、国庫負担の抑制を促した。
建議では、転作助成の水田活用の直接支払交付金について「単価を含め品目ごとの状況を踏まえた見直し」を要求。転作作物の農家所得が主食用米より高い例があるとし、単価引き下げの意向をにじませた。
同交付金は、小麦や大豆の単収が伸び悩む一因でもあるとした。作付面積に応じて支払う現行の仕組みは「単収に基準を設ける」などの見直しを求めた。
収入保険や農業共済、野菜価格安定制度、収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)など安全網は、財政面での持続可能性に懸念を示した。特に、収入保険で加入者の負担額の3倍を国が補助する「積立方式」部分は国庫負担が大きいとし、「保険方式」への移行などを求めた。
各制度は、機能の重複があれば見直しが必要だとした。「将来的には収入保険制度への一元化を進める」べきだと明記した。
農業の生産性向上には法人経営の増加が重要だと強調。現行の経営開始支援は、親元就農や「零細の自営農家形態」も対象としているが、「よりメリハリをつけた支援」を求めた。